アダージョ
 今回のアダージョでは、最近読んだ小説を紹介したいと思います。
 (*´ー`)
 第136回芥川賞の受賞作で、タイトルは「ひとり日和」。作者は青山七恵という人で、1983年埼玉生まれ。現在は都内の旅行会社で働いているそうです。作品も埼玉から東京に出てくるシーンからはじまっています。

 本はまだ出ていません。文藝春秋という少し分厚い雑誌の3月号で読みました。賞の選考委員の選評ものっていて、石原慎太郎さん、村上龍さん、宮本輝さんらが推薦していました。「読んでいるうちに候補作ということを忘れて小説の世界に入っていた」、「観察力がある」「見るべきところをしっかり見ていて無駄が無い」等、書かれていたので期待して読みましたが、裏切られること無く一気に読み切ってしまいましたo(^o^)o
 淡々と進むストーリーは、一筋の風が通り抜けていくかのようで心地よかったです。

 主人公は、20歳のフリーターの女の子。親戚の知らないおばちゃんの家に居候をはじめ、春からはじまる1年間が描かれています。新しい生活に目的や夢は無く、所々に不安や寂しさがにじみ出ています。

 映画やテレビドラマでもよく使われる方法ですが、主人公が悲しい思いをしていると、いかにも悲しそうな情景が写されて、それを代弁する事があります。
 この作品では、居候先が開発から取り残された袋小路の一軒家だったり、その窓から見える駅の一部が、改札の逆の端っこでほとんど人がいなかったりという描写があり、いっそう主人公の悲しさが引き立っていました。そして、人に優しくできないと嘆いたり、嫉妬したりする場面があり、作品全体に無力感がただよっています。自分が成長するために新しい場所へ踏み出していくときに感じる、生きることの苦しさがうまく表現されていて、すごく感情移入できました。"(ノ_・、)"

 また、おばあちゃんが主人公をさりげなく励ますシーンが何度かあって、すごく大事な役割をしています。スター・ウォーズでルーク・スカイウォーカーにオビ=ワン・ケノービが騎士道を説いたように、賢者が旅人を正しい方向へ導くシーンを思い出しました。
 おばあちゃんはまるで達観しているかのように、作品中で自分の感情をほとんど見せません。「現実を受け入れ、いかにその中で自分なりに楽しい人生を送るか」という姿勢がすごく潔くて、好感が持てました。最後の部分は少し違った感じで、とても印象的でしたが、ここでは伏せておきますね。

 芥川賞をとってから次々と本を出して売れていく人もいれば、そうでない人もいます。僕には青山さんと主人公が重なって思えて、彼女達のこれからを応援したいと思いました。
 文藝春秋の3月号は待合に置いてますので、僕の拙ない文章(´〜`ヾ)で興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
おしまい。

             
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