アキレス腱断裂症例


 平成16年9月23日、以前当院に在籍しておりました桂先生より電話が入りました。

 話を聞いてみると、柔道の練習中左足に”バチッ”と音が鳴り、アキレス腱部にかなりの痛み、そしてつま先を伸ばせない、と言う事でした。痛みに強い桂先生がかなり痛がっている様子でしたので、すぐ来院されるよう伝えました。
写真@断裂時のくぼみ
写真@
 自分で車をなんとか運転して来られましたが、左足を地面につけることができず、ケンケンで入って来られました。スタッフは初めて見るアキレス腱完全断裂でした。
 うつ伏せに寝ていただいてみると、かかとの少し上に2cmほどはっきりと皮膚のくぼみがあり、(写真@)ふくらはぎの筋肉が萎縮していて緊張が感じられません。確認のために、足首を動かす等の各検査を行い、院長は断裂は間違いないと判断しました。
 病院へ行けば手術の適応になってしまいますが、ご本人も開業して間がなく、仕事を休まずに、また一柔道整復師として手術をせずに治したいと言う事でした。当院も手術をしないで治すのは初めてなので、少し不安もありましたが、諸先輩がたにアドバイスを受けながら、治療を引き受けることにしました桂先生ご本人とも今後の日常生活等について充分に話会いました。
写真Aローラーによる治療
写真A

 9月24日、本人の自分でも見てみたいと言う希望と念のために、病院にてMRI検査を行いました。
  やはり、外見上くぼみのある部分に腱が写っていませんでした。担当された医師からもアキレス腱断裂と診断され、やはり当然のごとく手術をすすめられました。
 手術をしないでの治療は、ほぼ固定のみになってしまいますが、院長が常々お世話になっています林田先生のご指導により、基本的な処置を下記の通りにしました。
@ローラーを用いて繊維を整える(写真A)
  切れてしまった腱は断裂部でモップ状に広がっており、これを集束させます。 また、ふくらはぎの筋肉の萎縮を緩めて断裂部を近づけます。
A断端部を手でつまんで近づけ、血腫を分散する
Bさらにローラーを使って配列を整える
Cテーピングを貼る
  薄膜型のテープを断裂部全体に圧が加わるように貼り、その上にふくらはぎの筋肉に沿ってキネシオテープをはります。
Dつま先を伸ばした状態でシャーレ・包帯にて固定する(写真B)
  氷の交換が行えるように、包帯の固定をつま先、かかと、ふくらはぎにして、断裂部は氷をとめる程度にしました。
写真B固定
写真B
 日常生活では松葉杖を使って、左の膝を少し曲げた状態で体重をかけないように歩いていただき、椅子に座る際も足を下ろさないように指導しました。また、氷による冷却を1日数回行い、就寝時にも冷却を行っていただきました。(腫脹や内出血等、を冷却によっておさえるために行います)
 毎日このような治療を繰り返し行い、2〜3日後から痛みが少し和らぎ、10日後ぐらいより陥凹部に腱らしきものを触れるようになってきました。少し不安のあった院長も桂先生も、これなら大丈夫だろうと思い始めた頃でした。
 受傷から2週間がたった10月7日、患者の桂先生が保険の書類を作成するため整形外科を受診しましたが痛そうに足を引きずって帰ってきました。話を聞いてみると、初診時に行うようなアキレス腱の検査をもう一度ひと通りされたそうです。診てみると、陥凹部に触れていた腱はなくなっていましたまた腱が断裂した模様です腱の断端部が再び離解したため、再度受傷時からの治療を続けました。
 今度も10日後ぐらいから腱が触れてきました。一安心と思っていた10月20日、雨の日、桂先生から松葉杖を滑らせて転倒したと連絡が入りました。アキレス腱以外のけがは無かったものの、腱はまたもや離解してしまいました。最初の断裂を含めると、三度目の断裂になります。治療をすれば腱の状態は良くなるものの、固定をした状態での日常生活の大変さを思い知らされました。この頃に、手術を含めた今後の治療方針を桂先生とよく話し合いました。桂先生も我々も一番不安になった時期です。そして、もう少し治療を続けて効果が無ければ手術に踏み切ろうと思っていました。

3度も断裂している為なのか、2週間治療を続けてもなかなか腱が現れてくれません。


 手術になるかもしれないと考えながら、もう一週間様子を見ることにしました。
 再々断裂から3週間になる11月11日MRI検査を実施。前回(断裂時)には何も写っていなかった腱の部分に、半分ほど白い影が写っていましたこれは、回復の見込みがあると判断し、落ち込んでいた桂先生を励ましながら治療を続けました。

写真C足首を動かす治療
写真C

 再再断裂から約4週間になる11月20日ようやく腱が触れるようになり、癒着が始まったように感じました(写真C)ここからは、少しづつ足首を動かす治療を取り入れていきました。
 すると、柔らかかった腱が、徐々に硬くなってきたのがわかりました。順調に腱が繋がってきているように思いましたが、右足に比べると断裂部分はかなり太くなっていました。(通常、癒着時には少し太くなるそうです)長期間ふくらはぎの筋肉も使っていないため、筋肉の拘縮もみられます。

 桂先生ご自身で少し足首を動かせられるようになってきた12月初旬、シャーレによる固定を、つま先をやや曲げた状態で、かかとを高くして着地できるように切り替えました。桂先生にも足の指を握る練習をするように指導しました。

 
写真Dまだまだこれから・・・
写真D


 12月中旬、固定を変えて1週間後ぐらいから、シャーレを外し、かかとも床に着けて、松葉杖のみで歩けるようになりました。長期間固定をしていた為か、つま先から足首までのむくみが強く出ました。このむくみを除去するために、マッサージを取り入れました

 12月下旬より、杖も持たないで歩けるぐらいに回復しましたが、ふくらはぎの筋力が落ちているため地面を蹴る際に力が弱く、また腱が引っ張られると少し痛むため、びっこをひいた歩き方になってしまいます。(写真D)筋力の回復にも時間がかかるため、毎日少しづつ歩くように指導しました。公園へ歩く練習のため家族で行かれたところ、子供さん(2才)に追い抜かれたそうです

 1月下旬頃、継続的に歩行練習足首の運動療法を行っていると、歩行の際に少し力が入るようになってきました。見た目には、ゆっくりですが普通に歩けるなりました。但し、桂先生本人にはふくらはぎにつっぱる感じがのこっているようです。

 2月初旬、歩く速度も少し速くなってきて、日常生活にはほとんど影響がなくなってきました。また、見た目にも普通の速さで歩いておられます。そして、寝技のみですが、柔道の練習を始められたそうです

 2月10日現在受傷から約4ヶ月半が経ちますが、手術を行わず仕事も休むことなく、なんとかここまで回復してきました。途中二度の再断裂がなければもうすこし早かったように思いますが、、、
 桂先生のこれまでの苦労を考えれば、さぞかし大変だったことだろうと思います。
 現在の腱の太さは、左足の断裂部付近で約3センチ、右足の同じ高さのところで約2センチです。今後もこの太さの変化をみて行きたいと思います。
 ローラーとマッサージによる治療はもう少し続けて行うつもりですが、これからは、再断裂したり症状が悪化するような心配はなさそうですので、今回の報告はここまでにしたいと思います。

最後に、ヒトの自己治癒力のすごさ
そして構造医学の治療法のすばらしさを痛感しております。
また、ご指導してくださった林田先生、
治療を我々に委ねられた桂先生に深く感謝します。


(2005.02.10 文責 山崎 憲一)
 
   
             
TOP 整骨院案内 スタッフ紹介 求人 ウォーキング リンク 月刊ぷぷか?
             
治療概要 冷却法 歩行指導 ほね 整骨院内風景 喜びの声 過去の更新
             

フレーム・オン Copyright (C) 2004-2008 YAMAMOTO SEKKOTSUIN